今まで少数の糖鎖とサンプル間に着目されてきた糖鎖研究は、近年の技術進歩により糖鎖とそれに相互作用するサンプルの大規模な観測が可能となり、新時代を迎えている。その一例が機能性グライコミックスコンソーシアム (Consortium for Functional Glycomics; CFG)に蓄積されている糖鎖アレイであり、現在同コンソーシアムのWebサイトには3,000を超えるサンプルに関する情報が蓄積されている。この大きなCFGデータベースは我々に糖鎖相互作用に関する俯瞰的な様子を見せてくれ、このデータを用いて様々な糖鎖とサンプルの相互作用に関する仮説が導きだされることが期待される。この論文ではまず大規模データを解析する一般的なデータマイニング・機械学習手法を導入する。その上で、これらの手法が糖鎖の相互作用に関する予備知識のない状態でどのような解析が可能であるかを示す。この解析結果から、計算機による解析と実験的な検証が共同研究をすることによって、糖鎖科学の新しい道が開ける可能性を示す。